「不育症」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
流産や死産をくり返す状態のことで、産科のマンガやドラマなどで描かれ、認知度の上がってきた言葉です。
でも、この「不育症」には、化学流産は含まれるのでしょうか?
実際に化学流産をくり返して、
『もしかして不育症…?』
と、不安に思っている方も多いかもしれませんね。
この記事では、
・化学流産との関係
・不育症の検査
・不育症のその後の妊娠、出産
などについて、まとめています。
化学流産と不育症について知りたい方に、オススメの情報満載です。
ぜひ最後までお読みくださいね。
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不育症の定義って?化学流産を繰り返す場合も不育症?
何度か記事にしたこともありますが、私も化学流産を繰り返すタイプです。
化学流産とはいえ、何度も繰り返すのでは自分に問題があるのでは?と心配になることもありますよね。
まずは不妊症とは?というところからみていきましょう。
不育症の定義とは?
不育症は、「妊娠はするが、2回以上の流産や死産、もしくは生後1週間以内の死亡をくり返し、生児を得られないこと」と定義されています。
流産そのものは全妊娠の約15%で起きていますが、これをくり返す不育症の女性は2〜5%と言われています。
妊娠初期の流産のうち約80%は赤ちゃん側の染色体異常であり、偶発的に起こるもので、母体に原因はありません。
ただ、流産をくり返すほど、偶発的な異常である確率は低くなり、女性側、男性側のどちらかに、不育症のリスク要因がある可能性が考えられます。
なかには、1人目は問題なく出産できたのに、2人目以降で流産をくり返してしまうこともあり、続発性不育症と呼ばれています。
これには、1人目はたまたま妊娠・出産できたこと、年齢を重ねて流産しやすくなったこと、1人目出産時の子宮内トラブルで妊娠しにくくなったこと、などが考えられますが、原因が分からないことも少なくありません。
いずれにしても、ようやく授かった命との別れをくり返すのは、とても悲しいことですし、精神的ダメージも大きく、辛いことですよね。
ここまでは、一般的な流産(胎嚢や心拍を確認してからの流産)について述べてきました。
でも実際は、妊娠確定前の流産、いわゆる化学流産を経験した方も多いですよね。
化学流産は、不育症に含まれるのでしょうか?
化学流産も流産に含まれる?
現在のところ、不育症の定義には化学流産は含まれていません。
「2回以上の流産、死産をくり返す」という定義は日本やアメリカ、ヨーロッパで使われていますが、化学流産そのものが近年の妊娠検査薬の精度向上により認知され始めたもので、不育症の診断においては前提とされていなかったのです。
ただ、欧州生殖医学会が2017年、化学流産を不育症診断に含めるべきと発表しました。
その後も世界中で研究が進められており、不育症と化学流産との関係について、どのように診断し治療していくかは、今後の課題とされています。
化学流産は、気づいていないだけで実際は60%ほどの確率で起きている、とする報告もあり、「生理的なもの」「母体に原因はない」と考えられることが多いもの。
でも、何回もくり返すとなったら、何か原因がある可能性もゼロではありません。
不妊治療を行なっている婦人科などで、相談してみるのも良いでしょう。
受診することで、余計な心配やストレスがなくなるなら、勇気を出して受診する価値も十分にありますよね。
では、病院を受診した場合、どのような検査を受けることになるのでしょうか。
どのような状態で、どれくらいの流産回数で受診すべきなのか、迷うことも多いですよね。
次は、検査を受けるべき基準についてお伝えします。
不妊症の検査をした方がいいのはどんな場合?
不育症は、流産を2、3回くり返した場合に検査が薦められます。
過去の流産回数が多ければ多いほど、その後の流産率(治療しなかった場合の流産率)も高まっていくことが分かっているため、できるだけ早めに原因を特定し、治療することが必要なのです。
そのため、厚労省の不育症研究班も、2回流産をくり返したところからの検査開始を推奨しています。
ただ残念ながら、検査したとしても必ず原因が分かるわけではありません。
不育症の検査をしたうえでも、約65%の患者はは原因不明という結果で終わってしまいます。
その場合は、赤ちゃん側の染色体異常など、偶発的な流産をたまたまくり返したと考えて、次の妊娠へチャレンジしていくことになります。
化学流産のみを繰り返す場合に不育症の検査をするかどうかは、その方の状態と医師の判断によりますが、もしも検査してほしい!ということであれば、主張してみるのもひとつの手ですよね。
なお、検査によって分かる不育症のリスク要因には、下記のようなものがあります。
・子宮の形態異常
…生まれつき形が変わっていたり、子宮筋腫などの疾患によって妊娠しにくい
・内分泌(ホルモン)異常
…甲状腺の疾患や糖尿病などのホルモン分泌異常により、妊娠しにくい
・血液凝固異常
…血が固まりやすく、子宮や卵巣への血流が悪くなったり、胎児への血液・栄養供給が不足する
・染色体異常
…夫婦どちらかの染色体に異常があるため、受精卵にも染色体異常が起こる
これらの原因が特定できた場合は、それぞれに沿った薬での治療などを行い、妊娠を目指します。
こうして見ると、不育症だと今後出産できるのか不安になりますよね。
不育症の原因が分かったとしても治療が必要ですし、原因不明となっては対処のしかたが分かりません。
もし不育症だった場合も、子どもを授かり、産むことはできるのでしょうか?
もし不育症でも出産できるの?
不育症だとすると、これから妊活を続けても、妊娠・出産は無理なのでは…と思う方も多いでしょう。
すでに流産や化学流産を経験していると、「次もそうなるのでは」と怖くなってしまいますよね。
でも実は、不育症だと診断されていても、最終的に80%以上の方は無事に出産していることが分かっています。
早めに原因を特定し、服薬等の治療をすることで、その後の妊娠率はかなり高まります。
また原因不明だった場合も、偶発的な流産をくり返したと考えられるため、特別治療を行わなくてもその後妊娠・出産できることが多いようです。
不育症の原因があってもなくても、流産そのものの確率は年齢によって上がっていきます。
受診をためらったり、「また流産するのが怖い…」という不安から妊活を長期間ストップするなどしたら、さらに妊娠のチャンスが減ってしまうかもしれません。
もちろん無理な妊活をする必要はありませんが、絶対に子どもが欲しい!と思っている方は、早めに再チャレンジし、気になることがあれば病院で相談してみましょう。
まとめ
不育症については、
・2回以上の流産、死産、新生児死亡をくり返すこと
・化学流産は流産回数に含まれていないが、今後の課題とされている
・2回流産をくり返したら検査が薦められる
・不育症でも80%以上は出産可能
ということが分かりましたね。
化学流産は妊娠確定前に起きてしまうものですが、やっと授かった命との別れは、どんな形でも悲しいですよね。
それを何回もくり返すとなると、「自分に原因があるのでは…」と不安になることも多いでしょう。
ただ、ストレスや不安は妊活の敵。
不育症研究においても、流産とストレスの関係が指摘されており、疾患とは別のリスク要因として重視されています。
不安はひとりでため込まないようにして、パートナーや身近な人と共有するのもひとつの手です。
そして、気になることがあれば、早いうちに病院で相談してみましょう。
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