黄体機能不全という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
子宮や卵巣に関わる病気で、不妊の原因になるとも言われています。
中には、私も黄体機能不全かも…と思っている方もいるかもしれませんね。
でも、言葉だけではよく分からないのがこの病気。
「黄体機能不全ってそもそもどんなもの?」
「自分で治すことはできるの?」
など、気になることも多いですよね。
この記事では、黄体機能不全とは何かを解説のうえ、
・原因
・検査、治療
・改善方法
について、まとめています。
もしかして…と思っている方にぴったりの情報満載ですので、ぜひお読みくださいね。
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黄体機能不全って?自分で改善できる?症状や原因、治療法は?
妊活について調べていると、よく目にする言葉の一つだと思います。
「黄体」というものの「機能」が良くないんだろうな、と文字から推測はできますが、それって一体どう言うこと?
わかりやすいように順にまとめました。
黄体機能不全って?
「黄体」とは、排卵後の卵巣に残った組織のことで、妊娠に必要なホルモン類の分泌を行っている物体です。
黄体機能不全は、この黄体の働きが悪くなった状態のことです。
特に、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が減ることで、不妊につながる様々な症状が出てきます。
プロゲステロンは、
・子宮筋の働きを調整する
・基礎体温を上げる
などの働きを持っており、これらは全て、受精卵を着床しやすくして、着床後も妊娠を継続させるためのものです。
逆に言えば、プロゲステロンが減ることで、着床しにくくなり、着床しても妊娠を維持しにくくなってしまうのです。
黄体機能不全は、女性不妊症の1~3割を占めると言われ、不妊原因のなかでも代表的な疾患です。
妊娠継続が難しいことで、習慣流産(流産をくり返す)の原因にもなっています。
程度にもよりますが、黄体機能不全を放置したまま妊娠を目指すのは、難しいといえます。
では、黄体機能不全だとどのような症状が出るのでしょうか。
自覚症状があれば、セルフチェックで気づくこともできますよね。
次は、黄体機能不全の症状について解説します。
どんな症状があるの?セルフチェックできる?
黄体機能不全だと、基礎体温に変化が見られることがあります。
黄体ホルモンには基礎体温を上げる働きがあるため、通常は、排卵後に黄体ホルモンの分泌が増えることで、高温期に入ります。
その高温期に、下記のような変化がいくつかあれば、黄体機能不全を疑ってよいでしょう。
・その分、月経周期が短い
・低温期と高温期の体温差が少ない、もしくは高温にならない
・高温期の体温が不安定
・排卵とは違う時期に不正出血がある
これらは、毎日基礎体温を測ることで見えてくる変化です。
妊活においても基礎体温は重要ですので、ぜひ継続して測りましょう。
妊活って何から始めたらいい?赤ちゃんを意識しはじめた方へ
ただ、このような自覚症状がない場合もあります。
長期間の妊活でも授からない、着床してもすぐ流産になってしまう、などの状態になって、不妊検査をしたことで初めて気づく人もいます。
生理周期の異常や、妊娠できない・流産しやすいなど、ちょっとした変化があれば、早めに病院で検査するのがおすすめです。
知らないうちに黄体機能不全になっていたり、そのせいで不妊になっていたり…となると怖いですよね。
できれば早めに気づき、防いでいきたいものですが、そもそも、黄体機能不全の原因は何なのでしょうか。
黄体機能不全の原因は?
黄体機能不全は、はっきりと原因が分からない場合もありますが、下記のようなものが原因になると推測されています。
①ホルモン分泌の問題
子宮や卵巣は、脳の下垂体というところから分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)などの指令を受けて働いています。
これらのホルモンの分泌が悪いと、子宮・卵巣が正常に働かなくなり、黄体機能不全になりうると考えられます。
また、高プロラクチン血症(プロラクチンの分泌が多い)の人も黄体機能不全になりやすいと言われます。
②卵巣の問題
卵胞(卵子のもととなる細胞)の減少や、黄体の材料となる細胞の減少など、卵巣内の問題で黄体機能不全になる可能性が考えられていますが、詳しいことは分かっていません。
③子宮の問題
子宮には、分泌されたホルモンを受け取る「受容体」というものがありますが、この働きが悪くなると、黄体が分泌したホルモンを受け取れなくなります。
せっかく黄体がプロゲステロンを分泌していても、子宮側の問題によって、黄体機能不全になることもあるということです。
残念ながら、これら①②③がなぜ起こるのかは、はっきりと分かっていません。
ただ、このほかにも、ストレスや痩せすぎ、過度の肥満なども黄体機能不全になる可能性が指摘されています。
黄体機能不全は、ホルモンなど目に見えないものから引き起こされるため、基礎体温の変化以外、なかなか自分では気づきにくいものです。
病院に行って初めて気づくこともありますが、その場合、どのような検査が行われるのでしょうか。
また、黄体機能不全が分かった後は、どのように治療していくのでしょうか。
どんな検査や治療をするの?
まず、黄体機能不全が疑われる場合には、下記のような検査が行われます。
検査①:基礎体温の評価
毎日の基礎体温を自分で記録し、その様子から黄体機能不全かどうか診断します。
2〜3周期分の基礎体温表が必要になる場合が多いです。
なので、妊活を始めたらまず基礎体温を測ることをお勧めしています。
高温期が10日未満であったり、高温期の途中で体温が下がる、低温期との差が小さい、などが認められれば、黄体機能不全を疑います。
検査②:プロゲステロン検査
高温期の中ごろに、血液検査でプロゲステロンの数値を調べます。
10ng/mL未満の低い数値であれば、黄体機能不全と診断します。
ただ、プロゲステロン値は日内変動があるので、1回の検査では判断せず、次の周期で再度検査を行うことが多いです。
上記①②のほか、子宮内膜の組織を採取して、月経周期どおりの発達をしているか(例:高温期6日目なのに、3日目程度にしか発達していない、など)の検査を行うこともあります。
そして、これらの検査で黄体機能不全が確定したら、投薬などの方法で治療を行っていきます。
治療①:ホルモン補充療法
内服薬や注射薬で、直接プロゲステロンを投与し、足りない分を補充します。
高温期に入って2、3日目から連日投与していきます。
治療②:黄体賦活療法
黄体を刺激する作用のあるhCGというホルモンを投与して、間接的に黄体の形成、ホルモン分泌を促進させます。
hCGは、高温期2、3日目に注射で投与します。
治療③:排卵誘発療法
黄体機能不全では、黄体のもととなる卵胞の発育が悪いケースも多いです。
排卵誘発剤を使って卵胞の成長を促すことで、排卵後に良い黄体が作られ、ホルモン分泌も向上することが期待できます。
病院では、これらのような検査、治療が行われます。
プロゲステロン検査のように、2周期に渡って行う検査もありますし、投薬での治療も1周期で改善するとは限りません。
検査・治療に時間がかかることを考えると、何かあれば早めの受診をすることが大事です。
ただ、こんなに検査や治療が待っていることを思うと、黄体機能不全を治すのは大変そうですよね。
食生活やセルフケアで、黄体機能不全を予防したり、改善したりすることはできないのでしょうか。
黄体機能不全は食べ物やサプリで改善できる?
黄体機能不全は、程度によって病院での治療が必要になりますが、日頃のセルフケアで改善を見込むことも可能です。
黄体機能不全の改善で大事なのは、「ホルモンバランスを整え、良い排卵を目指すこと」。
黄体は排卵後の卵胞からできるので、質のいい卵胞を育てることで、黄体の形成やホルモン分泌を良くすることが期待できます。
そのために、特に心がけたいのが以下の点です。
①ストレスを溜めない
黄体機能不全は、ストレスによる影響も指摘されています。
肉体的・精神的いずれのストレスも、体内の活性酸素を増やし、卵胞の質を下げる原因になります。
ストレスのもとはできるだけ回避し、適度な運動、趣味やリラックスの時間を作って、受けてしまったストレスも発散できるようにしましょう。
②冷え対策
体の冷えは、子宮・卵巣の機能低下につながります。
特に、お腹まわりや下半身の冷えは良くありません。
腹巻、ひざかけ、靴下、カイロなどなど、アイテムを使って冷えを予防しましょう。
③ビタミンE
ビタミンEは黄体ホルモンの材料になる栄養素。
また、「子宝のビタミン」と言われるほど、卵巣機能の向上に効果があります。
ビタミンEは、アーモンド、たらこ・明太子、うなぎ、かぼちゃなどに多く含まれるので、ぜひ食生活に取り入れましょう。
また、食事だけで補えない場合は、サプリでの摂取もアリですよ。
こちらはビタミンEの他、併せて摂りたいビタミンCとビタミンDも含まれています。
このほか、タバコや過度な飲酒も避けるべきとされています。
生活習慣を整えることは、黄体機能不全に限らず、妊娠のために大事なことです。
この機会に、日頃の過ごし方を見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
黄体機能不全は、プロゲステロンなどの分泌を担う黄体の働きが悪くなることで、着床、妊娠の継続が難しくなる状態だということが分かりましたね。
黄体機能不全は、脳下垂体のホルモン分泌不足や、子宮・卵巣の機能低下などから起こるため、自分では気づきにくいものです。
症状が出るとすれば基礎体温の変化なので、妊活中はぜひ毎日測定するようにしましょう。
黄体機能の改善には、生活習慣を整え、ビタミンEなどを摂取することも大事ですが、重度の黄体機能不全となると、自力だけで治すのも難しくなります。
検査や治療に時間がかかることも踏まえて、何か異常があれば早めに受診しましょう。
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