近年、急速に普及してきた無痛分娩。
妊娠を意識している人なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
でも実際、無痛分娩とはどのようなものなのでしょうか?
「本当に痛みはないの?」
「リスクはないの?」
など、不安に思うことも多いですよね。
また、無痛分娩にしたい場合は、妊娠前からリサーチが必要だといいます。
それはなぜでしょうか。
この記事では、
・痛み
・費用
・デメリット
・妊活中からすべきリサーチ
これらのことが分かるようになっています。
妊活中の今こそ知っておきたい情報をまとめていますので、ぜひお読みくださいね。
ページコンテンツ
無痛分娩って?痛みは?費用は?妊活中からリサーチ必須!
無痛分娩とは?
無痛分娩は、麻酔を使って、陣痛をやわらげながら行う分娩方法です。
麻酔で主に使われているのは、「硬膜外麻酔」。
背骨の中の硬膜外腔という場所に、カテーテル(管)を差し込んで、そこから麻酔薬を注入するという方法です。
硬膜外麻酔は、胎児への影響が少なく、麻酔範囲も腰まわりだけで済み、母親も意識があるため赤ちゃん誕生の瞬間を味わえる、などのメリットがあります。
ほかに静脈麻酔(点滴)もありますが、鎮痛効果が弱いため、あまり多く使われていません。
無痛分娩のメリットとしては、
・陣痛を軽減することで、出産への恐怖を取り除き、落ち着いて赤ちゃんの誕生に立ち会える
・痛みによる精神的・肉体的疲労が少ないため、産後の回復が早い
・緊急帝王切開になったときも、麻酔のベースがあるためすぐに対応できる
・会陰切開や縫合などの後処置も痛くない
などがあります。
日本では近年広がりつつあり、ここ十数年で2倍近く件数が増えました。
しかし、無痛分娩が主流である欧米と比べると、まだまだ普及していません。
厚労省によると、アメリカでは無痛分娩の割合が41.3%(2008年)、フランスでは65.4%(2016年)なのに対し、日本は5.3%(2014〜2016年)と、差は歴然です。
普及させるには、無痛分娩そのものへの理解を広めることも必要ですが、日本の深刻な医師不足により、無痛分娩を行える施設がそもそも少ないという問題もあります。
安全な無痛分娩が、普通に受けられるような世の中になるといいですね。
しかし、無痛分娩といっても、本当に痛みもなく出産できるものなのでしょうか?
なかには、「無痛分娩だったのに痛い思いをした!」という先輩ママの声を聞いたことも、あるかもしれませんね。
次は、無痛分娩における痛みについて解説します。
無痛分娩って痛みは本当にないの?
無痛分娩では、全く痛みを感じずに出産することができるのでしょうか。
結論から言うと、痛みは全くのゼロになるわけではありません。
というのも、陣痛開始から出産まで、すべての過程での痛みを消すわけではないからです。
陣痛は、耐えられる程度の痛みから始まって、お産が進むのにつれて徐々に痛みが強まり、その間隔も短くなっていきます。
その間に、子宮の入り口(子宮口)も開いていき、全開になったときに出産します。
もし陣痛が始まる前から麻酔を入れてしまうと、お産が進まなくなり、出産までたどり着けなくなってしまいます。
そのため、「子宮口が5cm開くまで」などルールを決めて、それを越えてから麻酔を開始する病院が多いようです。
つまり、陣痛が一定程度になるまでは、麻酔せずに耐えることが必要なのです。
また、麻酔には効果の切れ目も存在します。
麻酔が切れたときは、状況によって麻酔を追加することになりますが、それが効いてくるまでは多少痛みを伴うでしょう。
それでも、どんどん痛みが強くなる陣痛のうち、ピークを含む半分以上の時間を痛みなく過ごせるなら、母体の負担はかなり軽くなります。
麻酔の効き具合には個人差もありますが、よく効く人であれば「楽しいお産だった」「体が楽な分、赤ちゃん誕生の幸せをより感じることができた」など、ハッピーな感想を持つことも多いようです。
多少は痛むとはいえ、陣痛の大半を軽減できるならメリットは大きいですよね。
でも、そこまでしてもらうからには、お金がかかりそう…。と心配な方もいるでしょう。
無痛分娩には、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
費用はどれくらいかかるの?
無痛分娩は、自然分娩と同様に保険適用ではありません。
保険がきかない分、かかる費用は病院によってバラつきがあります。
地域差や病院の規模にもよりますが、だいたいの病院では、
「自然分娩の費用 +5〜15万円」
の範囲内でおさまっています。
なかでも、+10万円ほどとしている病院が最も多いようです。
なお、無痛分娩では、あらかじめ予定日を決めて出産する「計画分娩」を行うことも多く、
その場合は、陣痛促進剤や、子宮口を開く措置(バルーン留置)で器具を使うため、その分の費用で、多少の金額変動はあるでしょう。
陣痛の苦しみを避けられるなら安いもの…とも考えることはできますが、できれば事前に費用を知っておきたいですよね。
無痛分娩を取り扱う病院の多くは、ホームページなどに費用が書かれているので、事前に調べておきましょう。
また、費用のことに限らず、無痛分娩については早め早めの下調べが必要です。
妊活中からリサーチしておかなければいけない…とも言われますが、それはなぜなのでしょうか。
妊活中からリサーチしておかないと危険?!
めでたく妊娠できた場合、まず決めなければいけないのが「どこで出産するか」です。
出産する産院で分娩予約を取らなければならないのですが、無痛分娩に限らず、人気の産院はすぐに予約が埋まってしまうのです。
人気の高い産院や、産科の少ない地域の産院では、妊娠3ヶ月(8〜11週)までには予約を取ったほうがいいと言われています。
特に、無痛分娩を取り扱う産院は少ないため、早めに埋まってしまう可能性があります。
妊娠検査薬で妊娠が分かるのが5週ごろ、心拍確認ができて妊娠確定するのが7週ごろ…と考えると、妊娠してからはあまり時間がありません。
稀ではあると思いますが、私は実際に妊娠6〜7週で、引越ししたてだった近所の人気な産婦人科に行ったところ、「診察はできますけど分娩予約はいっぱいでもう取れません」と言われた経験があります(^^::)
そこではなんと妊娠4週ごろにその産婦人科で診察を受けていないと予約が取れないとか・・・!
妊娠4週なんて、生理予定日ごろですよ。
そんなことがあるんだ!!とびっくりしたことを覚えています。
そんなことも無きにしも非ず・・・ということで、妊娠前から、ある程度リサーチして産院の候補を絞っておくのが良いでしょう。
産院選びにあたっては、無痛分娩ができるかどうかの他に、
・立ち会い出産ができるか
・入院中は母子同室か、別室か
など、考える基準は様々あります。
中には入院中の食事が美味しそうなところを選ぶ方もいますよ。
価値観はそれぞれですから、「ただ単に人気だから」という理由ではなく、どのようなお産が理想なのか、思い描きながらリサーチしてみましょう。
ここまで、無痛分娩のしくみやメリット部分についてお伝えしてきました。
しかし、体に麻酔を入れる以上、リスクはないのか気になりますよね。
最後に、無痛分娩のデメリットについてご紹介します。
無痛分娩にデメリットはあるの?
無痛分娩は、保険適用外とはいえ麻酔を使う医療行為。
痛みを軽減できる反面、デメリットやリスクもあります。
まず頭に入れておきたいのが、次の点です。
●分娩に時間がかかる
陣痛は、本来お産を進めるのに必要なもの。
痛みがなくなることで、進みが遅くなり、出産までの所要時間が長引きやすくなります。
そのため、陣痛促進剤を使用したり、子宮口が開きやすくなるようにバルーンを入れるなど、処置が必要になります。
また、「いきみ」のタイミングも分かりづらくなるので、うまく赤ちゃんが出てこれない場合は、吸引分娩になることもあります。
分娩時間の超過は、母子ともに負担が大きくなります。
状況によって麻酔の追加を一旦ストップするなど、医師の指示が出ることもあるので、それに従いましょう。
そのほか、頻度は低いものの、下記のような症状が出ることがあります。
●麻酔のまだら効き
麻酔を入れたのに、片側しか効いていない、一部しか効いていない、など効果不十分になることがあります。
麻酔を入れるチューブの微調整で良くなることもあります。
●排尿障害、足のしびれ
出産後に、膀胱まわりや下肢の神経に麻痺が残ることがありますが、徐々に治っていきます。
赤ちゃんの頭による圧迫が原因であることも多いので、できるだけ分娩に時間がかからないようにするのがベストです。
また、発熱、血圧低下、腰痛・背部痛が起こることもあります。
ごくまれですが、麻酔チューブのズレなどで麻酔が効きすぎたり、けいれんが発生する事例もあります。
これらは、症状が出たときに適切な対応をすることで、改善できたり、回避できるものも多いです。
産科医だけでなく麻酔医が常駐しているなど、「何かあったときに対応できる」体制を整えた産院を選ぶことも大事ですね。
まとめ
無痛分娩については、
・主に硬膜外麻酔を使って、痛みをやわらげる
・出産の全過程で痛みがなくなるわけではない
・費用は+10万円前後
・妊娠前からリサーチが必要
・分娩に時間がかかるほか、しびれが残るなどのリスクも多少ある
ということが分かりましたね。
無痛分娩は、ここ数年で認知度も上がり、希望する人も増えてきました。
一方で、無痛分娩を取り扱う産院はまだ少なく、医師不足の中で「麻酔科医が常に麻酔管理を行える」「何かあったときに対応できる」体制を整えるのは難しいのでしょう。
無痛分娩はメリットも大きいですが、安全に受けられるのが一番です。
選ぶ際は、スタッフの体制や、無痛分娩の実績などを調べて、安全第一で決めましょう。
コメント